カルテを整理していて甦った大学時代の思い出

この前、当院のカルテ棚の整理をしていました。一旦終了した患者様のカルテは診療室の奥にあるカルテ棚に収納するのですが、最終診療日が令和〇年〇月という風に分かりやすく棚を分けており、普段から患者番号順にカルテを並べるようにしている為、次に来院された時に探しやすくなっています。

整理をしていて、ふと大学時代の思い出が甦ってきました。

大学の歯学部は6年間通いますが、5,6年生は臨床実習があるため、診療室に出て治療をする担当医の先生の傍でアシスタントをしながら勉強するんですね。

今から来られる患者さんのカルテを探し出すのも学生の仕事でした。当時はカルテ棚があ行、か行という感じで分かれていて、その中に表面にしか名前の記載が無い紙のカルテが順不同で大量に入れてあるだけだったので、探すのに時間がかかり大変でした。

ある時急に来られた患者さんのカルテを探さなければなりませんでした。カルテ棚におそらく200~300人分位あったと思います。全てのカルテをヨイショッと抱えて机の上にドサッ!と置き、探しやすいように上半分と下半分に分けたんです(これが悲劇の始まりでした)。

そして間抜けな私は、下半分の方を上から順番に探し始めましたがありませんでした。そして残りの上半分を上から探してもなかなか見つからず、遂に残り2枚に。悪夢が頭をよぎりました。

「まさか、最後の1枚ってことはないよね?」

担当医の先生が事前に持ち出しているのかな?と思いつつ、恐る恐る最後の1枚に目をやると何と最後の1枚が探していた患者さんのカルテだったのです!!!!!

この時私、ホント言葉を失いましたよ・・・・・

「こんな事ってあっていいものなんだろうか?」と(苦笑)

この時、普段は大人しくて滅多に笑わない同級生の女子のOさんが、大きく溜息をつく私に目をやり、クスッと笑ったのを私は見逃しませんでした(笑)!Oさんは成績も優秀で、グループ実習で難しい課題が出されると皆から頼られる存在だったんですよね。それ故に苦悩もあった事と思います。そんなOさんに一瞬でも笑顔になれる時間を提供できて良かったと、私は親友のH君に力説しましたが、H君は無表情でウン、ウン、と頷きながら私に対し、

「Oさんの心配をするより自分の運気を気にした方がいいんでないの?」

と救いの無い一言。

私:「何でそういうシラけた 捉え方しかできねぇんだよ!」

H君:「だってそんなん事実じゃねぇかよ」

こんな無意味なバトルも、Oさんが目の前に居たら穏やかな笑みを浮かべ見ていてくれていたに違いありません(笑)。Oさん懐かしいなぁ、元気にしてるかなぁ・・・。

半分ずつに分ける時、その患者さんのカルテに指は触れていたと思うんですよね。

もう1枚ずれていれば、下半分の一番上にその患者さんのカルテがあって、探す必要もなかった・・・・。1枚の差でするりと私の指から逃げて行った・・・。

こんな虚しい思いを回避するには、上半分から探せば良かったんですよ!そうなんです、必要なのは学習能力です(笑)!