歯に付いているオレンジ色のものは何?

 歯の表面がオレンジ色になっている部分を見かけたことはありませんか?

この写真は上の12歳臼歯といって、名前の通り12歳くらいで生えてくる第二大臼歯という永久歯なのですが、オレンジ色に変色している部分がお分かりになるかと思います。

これは直前にミカンを食べたとか、オレンジジュースを摂取したとかではありません。

着色ではなく、細菌の塊なのです。

食事後、歯の表面には歯垢というネバネバした軟らかい汚れがたくさんついてきます。

これが歯磨きにより除去されず期間が経ってしまうと石灰化して硬くなり、歯石と呼ばれる細菌の塊に変化していきます。

このオレンジ色の塊は、歯垢から歯石へと移行する途中の状態です。

このオレンジ色になってしまうと、歯ブラシで磨いてもなかなかとれません。歯科で専用の道具を使って掃除しないととれません。

歯垢は白い色をしており、歯石は黄白色を呈している事が多いです。

上の左側の写真のオレンジ色の周りに歯垢や歯石が歯と歯の間、歯と歯茎の境目に溜まっているのが見えます。

上の12歳臼歯のすぐ外側にはおたふくの時に腫れる耳下腺という組織で作られた唾液が流れ出る耳下腺乳頭と呼ばれる唾液の出口があります。

この唾液の出口に近い12歳臼歯には唾液中に含まれるカルシウムやリンといった石を作りやすいミネラルがくっつきやすく、ただでさえ歯石がつきやすいのです。

また、上の12歳臼歯は奥にあり歯ブラシが届きにくいため磨き残しの歯垢がつきやすく、歯石と歯垢が絡み合うことによってさらに歯石の量が増えていくという悪循環に陥ります。

このオレンジの塊は、12歳臼歯の様な上の奥歯の外側(ほっぺた側)や、下の奥歯の内側(舌側)、上の前歯の歯と歯茎の境目、奥歯の咬み合わせの面の小窩裂溝と呼ばれる溝の部分などにつきやすく、大人になってからよりも子供の時期によく見られるのが特徴です。

厄介なのは、歯科でこのオレンジの塊を掃除で取り除くと、その下から虫歯が現れる事があるのです。

そうなると掃除だけではなく、虫歯の治療までしなくてはなりません。

なのでオレンジ色の汚れがついているだけだと思うのは危険です。

その下に大きな虫歯が隠れていて、歯の神経に達する程の深さになってしまっていることもあります。

その場合、勿論歯に痛みが出る事も十分に考えられます。

さらに、歯垢、歯石といった歯の汚れを放置しておくと、歯茎の炎症が起き歯茎が腫れたり出血しやすくなり、成人になると今度は単なる歯茎の炎症だけでなく、歯を支えている骨が溶かされる歯周炎へと悪化していきます。

歯周炎が進行して歯を支える骨が減少すると歯は立っていられなくなりぐらつき始め、歯茎に膿が溜ったりするようになり、ぐらつきが酷くなると痛くて食べ物が咬めなくなり、抜歯しなければならなくなることもあります。

ただ、年齢の若い小中高校生の頃はまだそこまで厳しい歯周炎になる事は少ないので、若い年齢のうちから歯科で定期的に歯垢、歯石の除去や歯のブラッシング指導を受けることで歯周炎の予防をすることは十分に可能です。

学年が上がる毎に学校だけでなく塾や部活などで忙しくなってしまい、歯科を受診する機会が減ってしまうお子様も多いのですが、若いうちに歯周炎の元を作らないように予防していくことは非常に大事ですので、歯科への定期的な受診(できれば3ヶ月に1回)を心がけるようにしてみてください。

宜しければご予約をお取りします。ご連絡をお待ちいたしております。