親孝行

私の父親はもう90歳を過ぎています。

子供時代からずっと父親を見てきていますが、私から見た父親の印象は生きがいである仕事に邁進し、とてもエネルギッシュな人でした。

多少我が強いところはありましたが、責任感は人一倍強く、私を含めた家族に一切不自由をさせない人でした。

そんな元気だった父親がもう杖か歩行器が無いと歩けなくなってしまいました。

病院に通院して血液検査や薬を処方して頂いたりはしていますが、体調が優れない日も多くなり、外出もしんどくなってきました。

そんな中でも体調が許す時は仕事をしており、情熱の火は未だ消えていません。

あんなに高齢なのに、仕事に関して衰えが一切見られないのは驚くばかりです。

最近、そんな頑張ってきた父親との思い出作りをと思い、父親の体調を見ながら私が車で父親の行きたいところに連れ出す事が増えてきました。

勿論今までもそういう事はあったのですが、父親が若くて元気な時にもっと親孝行しておけば良かったなと少し後悔しています。

「孝行したい時に親はいない」という有名な言葉がありますが、それを肌で感じるようになってきました。

この前は父親と母親を大好きなカフェに連れて行ったんです。

お店の雰囲気や外の景観が良いお店なので父親の気分も良くなり話も弾み、食も進んで良かったです。

私も嬉しくなり記念写真を何枚も撮りました。すると両親の反応は

父:「憲(私)がえらい写真撮りよるが、ワシはあんまり長うないんかのう?」

母:「ええんよそんなに沢山撮らんでも。葬式用の写真はもうええのが撮ってあるけえ、ハッハッハ(笑)!」

という感じでした(汗)。

こんな感じのジョークを言うのはいかにも私の両親らしかったのでそこまで困惑はしなかったですが、私がカメラを持ってきて写真を撮ったのは少しでも両親に喜んでもらいたかっただけだったんですけどね(笑)。

でも両親はとても喜んでくれましたし、とても貴重で良い時間になりました。

日に日に老いていく両親を見ることに寂しさも感じますが、両親のあんなジョークが聞けるのもやはり両親が生きていてくれているからこそ。今の時間を大切にしたいなと思います。

父親は気分が高揚したのか、宮島サービスエリアに連れて行って欲しいと言いました。

食事や土産物のお店も充実していて、何よりそこのスターバックスコーヒーでカフェオレを飲むのが父親の楽しみです。

いつも混雑していますが、あの賑やかな雰囲気が父親は大好きなんです。

自分が若い時には両親もまだまだ若かったんですが、自分がその時の両親の年齢になってみて初めて気付く、両親の尊さ、偉大さというものがあるんですよね。

高齢ではありますが、まだまだ長生きして私にその生き様を見せて欲しい、そんな事を思いながらハンドルを握り帰路に就きました。

最後に両親が「ありがとう」と言ってくれました。

その言葉に少しうるっときてしまいました(笑)。

早速その日のうちに写真を現像してもらい、両親に渡しました。

両親共にとても良い笑顔で写っていました。父が自分の写真を眺めながらとても喜んでくれました。

父:「お~~~、こりゃ誰や、男前じゃのう」

私:「そりゃワシの親父なんじゃけぇ当然じゃ」

などと訳の分からない事を言いながら(笑)、久しぶりに楽しい充実した一日を締めくくりました。父は自分の写真をずっと穴の開く程見つめていましたけど(笑)。

毎日仕事を頑張り疲れると、休みの日は家でゴロゴロしたくなるものですが、普段仕事で忙しい日々を送れているからこそ、この両親と過ごした一日が何倍も素敵な一日に感じられたのだと思っています。

そしてこの一日がまた明日からの仕事への活力になる。個人的には暇でダラダラするより、忙しくてしんどいな~位が丁度いいなと思います。

しんどい状況を楽にしていくのは簡単ですが、楽な状況をしんどくしていくのは難しいですからね。

そう思わせてくれた両親、いつもお世話になっている患者様に感謝です!